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『北摂の讃美歌』 [短歌]

『北摂の讃美歌』  川西市   井草晋一 
 (「合同歌集 『ちぬの海(Ⅲ)』 より)

 豊能・北摂地域は、千利休の七哲の一人で、信長、秀吉に仕えたキリシタン大名の高山右近が活躍した地であり、キリシタンに関係する史跡や多尊石仏が数多くあります。大正時代まで「隠れキリシタン」として右近の信仰を引き継いだ人々が茨木の奥深い山里「千提寺」一円に住んでいたことは有名です。
 郷土歴史家の西川隆夫氏は、「豊能町は、高山右近とその妻(ユスタ・マリア)出生の地であり、永禄七年(一五六四年)に余野城主クロン殿(能勢光則の子?)以下五三名がキリシタンの洗礼を受けた記録(フロイスの日記)がある。」と述べ、同じ年に造立された「余野の十三仏」は、「キリシタンの洗礼を受けたことの記念碑というべき性質のものである。」と語っています。
 さまざまな形を取った「讃美歌」を辿りつつ当時のキリシタンや現代の信仰者の賛美を「短歌」にして行きたいと思う此の頃です。
 
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<『紅梅の開花』 能勢川バイブルキャンプの食堂入り口>
 (バックは、キャンプ場のアイドル、モモちゃん。)
 
ヨーヨーの演技で示すクリスマス子らのステージ輝いて見ゆ

病室に百花おのずと集まりぬ慰め与うる白百合居ませば

若人の日毎に濃くなる小麦色テラスの完成キャンプの間際に

紙コップにぎゅっと詰めたるカモミール妻への土産は真白き花の香

意欲ないと高校休みし長男の「はーい」と答うる三日目の朝

差しだせる白き桔梗を見つめつつ「私も好き」と妻は微笑む


キリシタンの魔鏡の映すクルス像いかなる嵐をくぐり来たらむ

ユスタ姫の信仰再び燃え立ちぬイエズスを仰ぐ右近に嫁ぐ日

家臣らにイエズスの聖具分け与う右近の手に添う燭光輝く

家臣らとオラショ唱えて語り合う明石の城主の最後の夜は更く

キリシタンの内藤如庵の八木城を訪ねる秋の日妻とのドライブ

鍬持つ手休めし人と妻を撮る如庵の碑文の由来を聞きつつ

我が息の激しさ増しゆく八木の城本丸跡には緑風流れて

八木城の本丸跡より我も見る眼下に広がる口丹波の町

八木城の本丸前の大岩に我も登りて平安祈れり

民国との講和交渉成し遂げし如庵の十字架夕日に輝く

<短歌 七首 省略>

ケンタッキー油とスパイス火の勲章バイトの次男の腕に輝く

礼拝の終わりを告げる春一番屋根打つ音に皆天仰げり

斑鳩の太子に仕えし河勝の秦氏の故郷弓月(クンユエ)に立つ

カザフより持ち帰りたる「ドンブラ」を受け取る君の笑顔はこぼれり

「ドンブラ」の奏でる音色に走り来る「オータムフェスタ」に草原の風

木漏れ日のスポットライトに君は輝く「バイブルキャンプ」の秋のステージ

北摂のキリシタン史を辿りつつ君も至れリハライソの国

(以上、三十首)


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