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ふたりの贖罪(しょくざい) ~日本とアメリカ・憎しみを越えて~ [平和をつくる者]

NHKスペシャル 『ふたりの贖罪(しょくざい) ~日本とアメリカ・憎しみを越えて~』

本日(8/15)午後8時からです。
もうすぐ、始まります。
 
NHKスペシャル | ふたりの贖罪(しょくざい)~日本とアメリカ・憎しみを越えて~.jpg

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NHKスペシャル
 
2016年8月15日(月)
午後8時00分~8時49分
 
ふたりの贖罪(しょくざい)
~日本とアメリカ・憎しみを越えて~
   
憎悪が、世界を覆い尽くしている。どうすれば、憎しみの連鎖を断ち切ることができるのか。その手がかりを与えてくれる2人の人物がいる。70年前、殺戮の最前線にいた日米2人のパイロットである。
「トラトラトラ」を打電した真珠湾攻撃の総指揮官、淵田美津雄。その後もラバウル、ミッドウェーを戦い、戦場の修羅場をくぐってきた淵田だが、1951年、キリスト教へ回心し、アメリカに渡り、伝道者となった。
淵田が回心したのは、ある人物との出会いがきっかけだった。元米陸軍のパイロット、ジェイコブ・ディシェイザー、真珠湾への復讐心に燃え、日本本土への初空襲を志願、名古屋に4発の爆弾を投下した。そのディシェイザーもまた戦後キリスト教に回心、日本にとどまり、自分が爆撃した名古屋を拠点に宣教師となった。
戦争から4年後の冬、ふたりは運命の出会いを果たす。ディシェイザーの書いた布教活動の小冊子「私は日本の捕虜だった」を淵田が渋谷駅で偶然受け取ったのだ。以来ふたりは、人生をかけて贖罪と自省の旅を続ける。淵田はアメリカで、ディシェイザーは日本で。
ふたりの物語は、「憎しみと報復の連鎖」に覆われた今の世界に、確かなメッセージとなるはずである。
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<NHKスペシャル>
http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20160815
 
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真珠湾からゴルゴダへ・机上で聞いた神の声.jpg
     
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オバマ大統領の広島訪問を喜び、時を見極める [平和をつくる者]

『オバマ大統領の広島訪問を喜び、時を見極める』
 
オバマ氏、広島訪問へ_2016-0510_朝日新聞.jpg
 
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オバマ氏、27日に広島訪問 現職の米大統領で初
http://www.asahi.com/articles/ASJ4K2T9XJ4KUHBI00H.html
 
オバマ米大統領は10日、5月下旬の主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)
出席のため訪日した際、広島を訪問する方針を決めた。日米両国政府が発表した。
71年前の原爆投下以降、現職の米大統領が広島…
  
※無料会員登録すると1日3本まで記事が読めます。  http://t.asahi.com/7myt
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『オバマ大統領の広島訪問を喜び、時を見極める』
 
5月27日に予定されている、オバマ大統領の広島訪問は、私たち日本国民にとって、また、被爆者の方々にとってはなおさらのこと、待ち望んだ「時」であり、喜ばしいニュースだと思います。
またこのことを契機として、「戦後の歴史認識」と「戦後の歴史観」の再考、再構築につながっていくことになるでしょう。
 
戦前と戦中の旧日本統治下の地域や国々での日本の貢献や功績と軍政下の施策の功罪、そして、中国(当時の支那)および東南アジアの地域(欧米の植民地)での戦禍と日本軍による「蛮行」と言われている事柄の事実確認とともに、必要な場合(すでになされた国際関係の条約や契約に該当しない事項が発見された場合など)は新たな謝罪と補償が必要でしょう。
(〈従軍?〉慰安婦問題の<軍による「強制」>の問題は客観的事実に基付いていないことが先ごろ判明しましたが・・・。)
 
と同時に、第二次戦争末期の米軍による「東京大空襲」や各大都市への「大空襲」、「広島」「長崎」への原爆投下が、極東裁判以降に判断基準となった「人道に対する罪」について、問われないままで良いのかどうかも、再吟味が必要でしょう。
 
その上で、戦後の日本の復興のためにアメリカの教会や市民団体、労働組合などからも「ララ物資」が日本に送られ、GHQの占領下の下での復興が進み、「日本国憲法」が<国民主権><9条の不戦決議><天皇象徴性>などを明記して制定され、さらに、安保条約のもとで世界の第二の経済大国になったことなどは、日本国民全体として心に刻み、感謝すべきだと思います。
 
オバマ大統領は、その就任式(2009年1月20日)において以下のような就任演説をされました。
(テレビ演説を聞いてすぐにメモした内容です。)
 
(注:その後、1/21の神戸新聞の夕刊(就任演説の要旨)と神戸新聞のWEBの就任演説の全文を見ましたが、多少の表現の違いはあっても、以下のポイントはそれほどの違いがありませんでしたので、記載した表現のままにしています。)
 
ーーーーーーー
1. アメリカ国民に建国の精神をもって一致団結し、現在の社会、経済的危機の克服に共に立ち向かって行こう。
2. 勤勉、寛容、忠誠心、謙虚、感謝、他者への思いやり、奉仕の精神といった、高い倫理性に国民の一人一人が目をとめて行くように、促した。
3. 人種や宗教の違いを超えて、真の意味で団結しアメリカの再建をはかる。
4. 紛争解決に力だけでは真の解決は無く、同盟関係と国際間の協力を重視する。
5. 石油に変わる代替エネルギーの開発に力を注ぐ。
6. アメリカ国民、労働者が自らの給与の一部を削ってでも、同じ仲間の雇用と生活を保証するとともに、安価に健康保険/社会保険に加入できる社会の実現。
7. イラクからの尊厳ある撤退とアフガニスタンの平和構築への取り組みを進める。
8. テロを引き起こす者たちに対しては、恐れなく立ち向かうとともに、イスラム世界とも協調していく。
9. 子どもとしてのあり方を捨て、責任を自覚した大人としての歩みを進める。
10. アーリントン墓地に眠る兵士たちと世界に派遣されている兵士たちへの感謝。
ーーーーーーーーー
 
今回の広島訪問は、この就任演説で語った<第4項目>の推進の延長線上にあり、今後の日米の「平和構築」「平和維持」のための相互協力に関する重要なステップとみなされていると感じます。
 
21世紀に入り、国連がその国連憲章で定めている「国連軍」が戦後の今まで一度も組織できなかった中で、アメリカが単独で「世界警察」の役割を果たすことが確実に「困難」になって来ている「現実」があります。
 
その中で、日本として現憲法の解釈の下において、できうる貢献が求められています。
「安保関連法案」が、一部で言われているような意味での、単なる「戦争法案」ではなく、PKOなどで国際貢献において、不十分ではあるが現地に遣わされた自衛官の職務遂行上の安全や障壁となる課題の改善、および、台頭してきている中国の軍事的力による海洋進出に対処するための改正であることも理解が必要でしょう。
 
なお、一国民として、冷静に今後の防衛関連や安保関連法案の推移については注意深く見続けていくことは、当然のことですが必要だと思います。
 
憲法は、国民の権利や人権、平穏な生活を守るためにあるのであり、国民が<憲法のある条文>を守るために存在しているのではないことを、私たちは今一度、心に明記すべきです。
その意味で、「安保関連法案」イコール「戦争法案」と位置付けて、キリスト教の諸団体、教団、積極的に活動している代表と思わせるような「グループ」を標榜して、デモや活動を進めている、一部のキリスト者の行動に対しては、自重を求めたく思います。
 
近年、これらのグループの人々が、「平和」や「平和つくり」、また、聖書の一節「剣をとる者は剣で滅びる」の箇所を、聖書の文脈やイスラエルの歴史的背景を十分に吟味することなく、自らの主張を対社会的に表明するために、行政府や一般の方々宛に用いていることは、とても残念なことです。
 
歴史的平和教会(メノナイト、ブレズレン、クエーカー)に属し、「良心的兵役拒否」や「無抵抗主義(ノンレジスタンス)」「平和づくり(Peace Making)」、「被害者加害者の和解プログラム(VORP)」「紛争解決の取り組み」「クリスチャン・ピースメーカー・チーム」などの活動を見聞きしてきた者として、現在、特にキリスト教界で言われ出した「平和づくり」の主張や表現は、もう少し慎重に、かつ聖書的に用いていくべきであると感じます。
 
現に、「平和」を標榜する人々のうちに「争い」、政治的な「闘争」が散見されるからです。
 
35年前、「『無抵抗主義(ノンレジスタンス)』とは、キリストの弟子であることの帰結である。」と語られていた、福音聖書神学校(EBS)の初代校長の Dr. ハリーフリーゼン先生の言葉を思い起こします。
 
一人のキリストの弟子として、「友のためにいのちを捨てる」という「捨て身の愛」は、私たち日本人キリスト者のうちに、今、あるのでしょうか?
 
 
<ヨハネの福音書 15章13節>
人がその友のためにいのちを捨てるという、 これよりも大きな愛はだれも持っていません。


  
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『第12回  南原繁シンポジウム』 ー 南原繁と戦争 ー [平和をつくる者]

『第12回  南原繁シンポジウム』
ー 南原繁と戦争 ー
 
11月3日(火)に東京の「学士会館」で開催された、南原繁シンポジウムに参加しました。
会場は、200名の参加者で満員でした。
 
南原繁_シンポジウム_2015-1103.jpg
 
<南原繁 研究会 >
http://nanbara.sakura.ne.jp/simposium2.html
 
東京大学教授の加藤陽子氏の講演の後、木花章智氏、村松 晋氏、宮崎文彦氏の三人による発題とパネルディスカッションがありました。
終了後の懇親会では、南原繁の次男、南原晃氏(81)の挨拶がありました。
 
 IMG_5202.jpg

南原繁_次男挨拶.jpg

ーーーーー
 
内村鑑三の弟子であり、無教会派の信仰を受け継ぐ南原繁の信仰と政治学者としての考えや主張は、21世紀の日本の歩むべき方向性や国際関係、国連のあり方、日本としての今後の国際貢献について、示唆に富んだものだったと実感しました。
1980年に福音聖書神学校(EBS)に入学した頃、図書室の「国家と宗教」の本を読み、昭和18年に記した「カトリシズムとプロテスタンティズム」の論作では、「・・・将来、第二の宗教改革として、東洋の日本民族によって、遂行し得られないと誰が断言し得るであろうか。・・・」と記されてあり、深い感銘(共感)を覚えました。
 
無教会派の信仰の指導者たちのメッセージ、論説、提言などは、深い信仰と鋭い洞察に裏打ちされた「時代の預言者」の言葉と言えるのではないかと思わされます。
 
ーーーーーーー
 
今回の国会における安保関連法案の審議や日本としての国際貢献のあり方など、南原はすでに言及しています。
 
「・・・戦争放棄はもちろん当然なさるべきことですけれども、一兵も持たない完全な武装放棄ということは日本が本当に考えたものかどうか、ということを、私は(注:貴族院にて)質問したわけです。つまり、私の考えは国家としては自衛権を持たなければならない。ことに国際連合に入った場合のことを考えるならば、加入国の義務として必ずある程度の武力を寄与する義務が将来生じるのではないか。その場合、どうするのかということですね。
それに対して福田先生が「絶対平和論との関係は?」と問われる。
宗教・道徳の問題としては絶対平和論はいえるけれども、私はやはり政治学者として考えるから、国家には最小限度の自衛力なり防衛力なりは必要ではないかと考えております。ただ、せっかく第9条で、ほかのどの国にも無いような新しい平和憲法をつくった日本であるから、この新しい精神はできる限り、何らかの形で生かすことを考えたい。その両者をどう調和させたらいいかという問題が残ると思います。・・・」
<「聞き書 南原繁」(351頁)>
 
南原が想定していた軍事面での国際貢献とは、「集団的自衛権(外部の敵による攻撃から自らを防衛する権利)」ではなく、警察機能を有する国連軍による「集団安全保障(一つの集団の内部の秩序維持に向けた制度)」であったわけであるが、未だかつて国連憲章に基づく「特別協定」による正規の「国連軍」は形成されす、「多国籍軍」としての活動となっている。」と発題講演で宮崎氏は述べられました。
 
IMG_5188.jpg

「和平、平和の実現はには、複数のアクターとの交渉、ネットワークの構築が重要であり、非政府組織(NGO)への支援、ネットワークの構築、人材育成をすることが求められる。国家(日本)が果たすべき役割はこのあたりにも存在する。」との宮崎氏の結論は、私自身も、共感しました。
 
IMG_5196.jpg

ーーーーーーー
 
無抵抗主義(ノンレジスタンス)の領域から、「剣」を委ねられた領域の人々、組織の<連携と連帯>による「平和作り(Peacemaking)」を提唱した私自身の考えや思いと同じ見解に立たれる人々がおられることに励ましを受けました。

( 2006-0805 「レンズを換える平和問題」 キリスト新聞)
http://peterpooh.blog.so-net.ne.jp/2006-08-06-1
  
ーーーーーーーーーー
 
クリスチャントゥデイに、記事が掲載されました。

http://www.christiantoday.co.jp/articles/17525/20151107/nannbara-shigeru-workshop-12th-symposium-war.htm
 
 
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福音主義神学会 春期研究会議 [平和をつくる者]

福音主義神学会 春期研究会議

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本日(4/21)の 福音聖書神学校で開催されるる、「福音主義神学会(西部部会)春期研究会議」の午後の「研究発表」の資料です。
(発表:20分、質疑応答:10分)


●2014-春期研究会議「研究発表」
テーマ:『国家に対するキリスト者の良心』
 日時:2014年 4月21日(月)
 会場:福音聖書神学校(池田市)

――――――――――――――――――

<氏名> 井草晋一
<所属> 日本メノナイトブレザレン教団
       能勢川キリスト教会 牧師
     コルネリオ会 教職顧問(関西方面)

<研究発表の概要> 
■『内部的変革による平和(シャローム)の実現』

 国家をどう捉え、直面する内外の課題に向き合い、キリスト者の良心を具体的に現していくか、キリストの再臨を待ち望む私たちの「今」が問われています。
 歴史の事実と現実の課題を直視しつつ、キリストのみ教え(聖書)から、シャローム(平和)の実現、PeaceMaking(平和づくり) の道を探ります。


●ダウンロード用ファイル
 (研究発表の資料)
福音主義神学会_研究会議_2014-0421_井草.pdf



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カンザス州の竜巻被害の続報 [平和をつくる者]

■MBの皆様へ(MB-ML;牧師会-ML)
■各牧師、兄弟姉妹へ(とりなしの祈り)

MB審議委員会(JMF, MWC, AMC)
 日本メノナイト宣教会(JMF)関係の担当窓口:井草より

既にテレビのニュースや新聞等でご覧になったと思いますが、5/4にカンザス州
南西部に発生した大規模竜巻の様子を、大野道夫先生が伝えてくださいました。
グリーンズバーグ・メノナイト教会や、現地の諸教会の兄弟姉妹の為に、また、
被災された方々のために、ぜひ、お祈り下さい。

<ロイター:ビデオ>
http://today.reuters.co.jp/tv/videoChannel.aspx?storyid=FEEDROOM193348

<asahi.com より>
http://www.asahi.com/international/update/0507/TKY200705070017.html

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From: <大野道夫先生より>
Subject: カンザス州竜巻続報
Date: 2007年5月9日 21:05:00:JST
To: <省略>

 メノリンクからのメールによるカンザス州の竜巻被害の続報を送ります。

 現地時間4日金曜日の夜,少なくとも6個の竜巻がカンザス州南西部を襲い,グリーン
ズバーグの90%を壊滅状態に陥れた。6人の死者があったと報告されている。
 竜巻から1時間経たないうちにメノナイト災害救助隊(Mennonite Disaster Service)
のカンザス部から4チームが現地入りをし,跡片づけに当たった。日曜日までにはさら
に4チームが加わることになっている。
 グリーンズバーグ・メノナイト教会を11年にわたり牧会してきたブラックバーン牧師
は,「トラウマに対処する訓練を受けてきたが…」と話したが,言葉を続けることがで
きなかった。彼の教会は完全に破壊され,家族の住んでいた牧師館も同様になぎ倒され
てしまった。
 MDSの責任者,ケヴィン・キングは土曜日の朝,竜巻が襲って1時間もたたないと
きに現場に到着したが,「こんなのは見たこともない。巨大な鋤でならしたように見え
る,」と語っている。町では壁の一つも立ったままで残ってはいない。文字通り,一の
石も他の石の上に残っていない状態だ。
 グリーンズバーグの人口は1500余だが,ここの教会員80人ほどの四分の三がこの町に
住んでいる。すくなくとも教会員3〜40人が家を失ったことになる。ブラックバーン牧
師は,「MDSが来てくれるとは思っていたが,こんなに早く来るとは思わなかった」と
いう。
 教会は建物を失ったが,日曜日の礼拝は隣町,ハヴィランドの高校の運動場でするこ
とになっても実施すると言う。
 多くの住民は,ハヴィランド高校に避難し,そこで食糧の配給などを受けている。MD
Sのボランティアは,後片づけがひとまず済んだところで,残っている家屋の屋根を修
繕したり,教会員が持ち物を整理したりするのを手伝うことになっている。

MIKE オゥノ ミチオ
**************************
シャローム Peace be with you!
**************************
05/09/07 21:05:00


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『レンズを換える平和問題』 (「キリスト新聞」8/5日号 掲載記事より) [平和をつくる者]

  ■ 6/27-30 まで、ハワード・ゼア先生のセミナー(東京聖書学院)に参加しました。
 その後、「キリスト新聞社」より「平和問題」についての執筆の依頼がありましたので、下段の記事のようにまとめました。  (「キリスト新聞」 8月5日号に掲載)
・今回の特集は、平和問題に関する「聖書的現実主義」も取り上げるとのことでした。
(キリスト新聞社から、WEBへの転載の承認を受けています。 2006年 7/31付)

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『レンズを換える平和問題』
— 平和の理解と実践におけるパラダイム転換 —
 
 21世紀に入り、国際社会における「平和」の実現や地域社会の安全、対人関係の修復や和解、教会内の衝突や葛藤からの解決などの領域で、平和の理解と実践におけるパラダイム転換、すなわち、新しい「平和つくりの道(Peacemaking)」の具体的な方向性とその手段が求められています。
 
「修復的司法(Restorative Justice)」による「平和つくりの道」
 初めて “Victim Offender Reconciliation Program” の言葉、すなわち「被害者・加害者の和解プログラム(VORP)」を知ったのは、十数年前のことです。若手の宣教師の一人が、フレズノ・パシフィック大学(北米メノナイト・ブレザレン協議会が運営)には、このコースがあり、フレズノ神学校の在学中に学びをしたと話してくれたのがきっかけでした。
 1974年にオンタリオ州キチナーで22件の器物損壊事件を起こした二人の少年を被害者と会わせ、被害者が経験した恐怖や怒り、赦しの言葉に直面させて、謝罪と被害弁済の協議を進めたことに端を発した「被害者と加害者の和解運動」は、この運動を押し進めたメノナイト派の教会やコミュニティーにとどまらず、現在では世界中で数千の働きとなって実を結んでいます。
 日本では、2001年に千葉で「被害者加害者対話の会運営センター」が弁護士たちを中心に設立され、2004年には関西で「被害者加害者対話支援センター」の活動が始まりました。アメリカにおける最初の「被害者・加害者の和解プログラム」設立に尽力された、ハワード・ゼア博士(東部メノナイト神学校教授)の著書『修復的司法とは何か(原著:”CHANGING LENSES”)』は、法曹界の学者を中心とする「RJ研究会」の関係者によって2003年6月に発行され、「修復的司法」のバイブルとなっています。

 この度、6月27日から30日まで「東京ミッション研究所」とホーリネスの東京聖書学院の共催で、ハワード・ゼア先生による「修復的司法」に関するセミナーが開催され、7月1日の「日本宣教学会」の他、大学の法学部/社会学部の関連での講演や、日本弁護士連合会主催による講演会が7月6日まで行われました。今回のゼア先生の来日は、日本の法制度や裁判制度に対しては、応法的司法から修復的司法への転換を促し、被害者とその家族の癒しや加害者の真実な矯正、社会復帰などの領域での新しい取り組みの可能性を与えるものでした。
 同様に、日本のキリスト教会には、「平和の理解と実践」にパラダイム転換を迫るものでもありました。そして、今、私たちキリスト者は、「平和」の理解や取り組みにおいて、地域社会からも変革(トランスフォーメーション)を求められています。その意味するところは、「イエス・キリストの十字架の救いとは?」という、キリスト者の信仰の本質そのものに関わることなのです。
 
 
<右:ハワード・ゼア博士>
 
「回復の神学」による「平和つくりの道」
 「平和=シャローム」とは、幸福の状態、正しい関係、善の状態を表す範囲の広い語でもあり、「健全で、いっしょで、健やかな世界を表す」と言われます。ここに、シャロームの実現のために、「回復の神学」を提唱します。

 関係者が車座(円形)になって相集い、「合議」によってなされる問題解決へのアプローチが、私たち日本人の民族的アイデンティティーとして今も残されています。確かに過去の世界大戦の結末を招いた権威主義や権限を持つ者の独善と偏狭な主義主張は、現代の行政や企業経営だけでなく、教会運営においてさえ根深く存在していることも事実でしょう。けれども、組織や共同体の存亡の危機に直面した時、不義不正によって引き起こされた混乱や衝突を直視し、いかにして本来あるべき関係に戻していくかを当事者全員で話し合い、解決と和解の道を見いだして行こうとします。これこそが「平和つくりの道」そのものと言えましょう。この時、ハワード・ゼア先生の提示された修復的司法(RJ)における今ひとつの方法、関係者の合議と対話による解決へのアプローチとしての「サークル・プロセス」が始まっているのです。

 さらに、かつて救済論において「再復説(レカピトゥラティオ)」を唱えた教会教父のイレナエウスの信仰的遺産の再評価がなされることによって、アンセルムス以降の「満足説」に代表される「救済論」のパラダイム転換が始まります。「応報の正義」の束縛から解き放たれ、福音宣教の今後の方向性や教会内部の「癒し」にも新たな視点が与えられるでしょう。
 神との関係の回復、人との関係の回復、被造物全体の回復。本来のあるべき状態の回復、また、相互の関係の癒しと回復。神学生時代に聞いた、有田優牧師の言葉が思いだされます。
  「キリスト教の本質とは、真の人間像の回復である。」

 今こそ、私たち日本人キリスト者の手による、様々な領域における多様な形での『平和つくりの道』の取り組みとともに、『回復の神学』の速やかな構築が待たれます。
 キリスト者の「平和つくりの道」、すなわち、”Peacemaking” は、剣(武器)を帯びる領域から全く剣を持たない領域に至るまでの、主の召しとビジョンと油注ぎの中で与えられた、お互いの「平和への多様な取り組み」を理解し、尊重し、とりなしをする中に連携がなされ、「平和=シャローム」の実現に向けて大きなうねりとなって行くのです。
 

日本メノナイト・ブレザレン教団 
能勢川キリスト教会  牧師 井草晋一 
(「キリスト新聞」2006年8月5日号)
・転載する場合は、メールなどで連絡いただければ幸いです。

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『修復的司法』 ハワード・ゼア博士 来日プログラム [平和をつくる者]

■「修復的司法」に関する、ハワード・ゼア先生のセミナーについて

私(井草)は、先週の一週間、ホーリネスの東京聖書学院で行われた、ハワード・ゼア先生の「修復的司法」に関するセミナーと、7/1 の「日本宣教学会」のセミナーに参加して来ました。


<写真右:Howard Zehr 博士>

ここ数週間、テレビなどでは、山口県光市で99年に起きた母子殺害事件の上告審判決に対し、被告の元少年(25)に死刑を求め続けてきた遺族の本村洋さんのニュースや、奈良県田原本町の医師(47)宅が全焼(6/20)し、焼け跡から母子3人の遺体が見つかり、私立高校1年の長男(16)が逮捕されたニュースなど、少年による殺人犯罪が連日のように取り上げられていました。

このような中で、修復的司法(Restorative Justice)や、被害者・加害者の和解プログラム(VORP)の働きの創設から関わって来られた、ハワード・ゼア博士(東部メノナイト大学 教授)が来日され、東京方面の各地の神学校、大学などで講演やセミナーが行われています。
これは、日本のキリスト教会や、日本の社会に対する、神様の摂理的なご計画であると思われます。

今回のゼア先生の来日プログラムには、キリスト教関係のみならず、大学の法学部/社会学部の関連での講演や、日本弁護士連合会主催による講演会も予定されています。
日本の法制度や裁判制度、被害者とその家族の癒しや加害者の真実な矯正、社会復帰などの領域で、大きなインパクトを与え、「パラダイム転換」を迫るものです。
また、これは、キリスト教会の信仰における「贖罪論」の理解の変革(トランスフォーメーション)と、福音宣教の今後の方向性や教会内部の「癒し」にも新たな視点を与えるものだと思います。

ゼア先生のお働きのために、また、弁護士連合会の研鑽のために、お祈りいたします。

*参考:被害者・加害者の和解プログラム
http://homepage.mac.com/s_igusa/Menu14.html

■<追伸>(「H. ゼア講演実行委員会:金本悟/西村春夫」より)
*なお、 7/7 以降に、ある新聞(全国紙)の記事に大きく取り上げられるでしょう。
*クリスチャン新聞では、今回のTMRIのセミナーを第一面で取り上げるとのこと。

*また、フジテレビ系で、以下の番組が放映されます。
■ 7/12(水)深夜 2:28〜3:28
 「死刑廃止への旅 被害者家族、加害者家族のテキサス17日間」
■ 7/19(水)深夜 2:28〜3:28
 「裁判員制度」(仮)

http://www.fujitv.co.jp/fujitv/news/pub_2006/06-192.html
http://www.fujitv.co.jp/nonfix/library/2006/511.html

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■ハワード・ゼア博士 来日プログラム(1) <宗教関係>

◇6月27日(火)〜30日(土) 東京聖書学院(東村山市)
 主催:東京ミッション研究所(TMRI)/東京聖書学院(ホーリネス教団)
 講演:『新しい社会を形成する教会』〜包括的贖罪理解による共同体の変革〜
  1. 壁に向かって:"Doing Life" をめぐって
  2. 加害者:正義が求めるもの
  3. パネル・ディスカッション (教誨師、他)
  4. 信仰:トラウマと癒しの要因
  5. 悲しみの時:被害者と教会
  6. 被害者と地域教会 (ビデオ/ディスカッション)
  7. 視点を変える:修復的司法とは
  8. 修復的司法の聖書的基礎 (中島光成師)
  9. 現代日本における修復的司法 (ビデオ/質疑応答)
10. 修復的司法の現代的実践
11. 教会における実際的課題&質疑応答 (ゼア師/中島師)

■ハワード・ゼア博士 来日プログラム(2) <アカデミック関係>

◇7月1日(土)13時〜15時30分 ニコラ・バレ修道院9階
  主催:日本宣教学会
  主題講演:「報復ではなく、ゆるし、いやし、和解」

◇7月3日(月)15時〜17時 早稲田大学9号館5階第1会議室
  主催:早稲田大学比較法研究所
  講演:「近代における刑罰論と修復的司法」

◇7月4日(火)18時〜20時 弁護士会館2階クレオBC
  主催:日本弁護士連合会
  講演:「21世紀の〈復讐〉と〈赦し〉——米国における修復的司法の取り組みに学ぶ」

◇7月5日(水)18時30分〜 日本聖公会牛込聖バルナバ教会 
  主催:「死刑を止めよう」宗教者ネットワーク主催
  講演「〈罰の裁き〉から〈きずなの回復〉へ——修復的司法の聖書的・霊的基礎」

◇7月6日(木)13時30分〜18時30分 東洋大学白山キャンパス浦水会館2階
  主催:ゼア博士講演実行委員会=東洋大学社会学部ハークプロジェクト共催
  講演:「アメリカにおける私の実践」
  実践報告と討論:「被害者加害者対話支援センター」(関西VOM)
          「千葉被害者加害者対話の会」

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<■東京地区メノナイト教会連合(TAFMC)指導者研修会のお知らせ■>

 ・日時:2006年7月4日(火) 
      午前10時〜12時30分 (講義:1時間半)
 ・会場:弥生台キリスト教会  (牧師:東條隆進)
     (日本キリスト兄弟団)
     〒187−0002 東京都小平市花小金井4-12-6 (Tel. 0424-63-7295)
      http://members.jcom.home.ne.jp/bicj/yayoidai.htm
 ・費用:参加無料

■□■『修復的司法(Restorative Justice)』■□■

最近、各界で注目されている「修復的司法」に関して、その分野の専門家である、フレズノ・パシフィック大学(米国加州)のドゥエイン・ルース‐ヘッフェルバウアー師が分かりやすく解説してくださるとともに、その実例を、特にインドネシアでのご自身の体験から語ってくださいます。
正義、そして平和を追求するキリスト教会として、この課題をどのように捉え、それに取り組んでいくか、講義とともにフォーラムを下記のように開催しますので、是非ご参加ください。
なお、TAFMCの指導者研修会のプログラムですが、神学塾、生活講座受講者の他、一般の参加者も歓迎いたします。参加希望者は、TAFMCの教会員であれば所属教会を通して、それ以外の方は神学塾・AMENまでEメールにてお申し込みください。

講師:ドゥエイン・ルース‐ヘッフェルバウアー
    Duane Ruth-Heffelbower

弁護士、法律カウンセラーであるとともに、さまざまな紛争における仲介者、代弁者と奉仕する。カリフォルニア州中部地区においてVORP(被害者・加害者の和解プログラム)の運営にも携わる。フレズノにあるメノナイト・コミュニティー教会の会員として、時には説教奉仕も担当する。今回は、インドネシアにおける紛争解決の働きの後に、成田が飛行機の乗継地であったことから、東京訪問の機会となった。

主催 東京地区メノナイト教会連合 
   (議長 宮崎宣洋)
協力 神学塾・AMEN(理事長 東條隆進)

問合せ・参加申込み連絡先
AMEN(アナバプテスト・メノナイト教育ネット ワーク) 榎本和広 

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牧師  井草晋一   
http://homepage.mac.com/s_igusa/ ◇ http://blog.so-net.ne.jp/peterpooh/

◇地域社会に根ざし、キリストの福音を伝え、平和をつくり出す◇
         『愛といやしの共同体』
日本メノナイト・ブレザレン教団   能勢川キリスト教会
〒666-0155 兵庫県川西市西畦野字餓景 6-1
TEL. & Fax. 072-794-3537 
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修復的司法とは何か―応報から関係修復へ

修復的司法とは何か―応報から関係修復へ

  • 作者: ハワード ゼア
  • 出版社/メーカー: 新泉社
  • 発売日: 2003/06
  • メディア: 単行本


修復的司法の探求

修復的司法の探求

  • 作者: 高橋 則夫
  • 出版社/メーカー: 成文堂
  • 発売日: 2003/03
  • メディア: 単行本


被害者と加害者の対話による回復を求めて―修復的司法におけるVOMを考える

被害者と加害者の対話による回復を求めて―修復的司法におけるVOMを考える

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 誠信書房
  • 発売日: 2005/06
  • メディア: 単行本



心からのごめんなさいへ―人ひとりの個性に合わせた教育を導入した少年院の挑戦

心からのごめんなさいへ―人ひとりの個性に合わせた教育を導入した少年院の挑戦

  • 作者: 品川 裕香
  • 出版社/メーカー: 中央法規出版
  • 発売日: 2005/07
  • メディア: 単行本


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CPTワーカー、トム・フォックス氏の担当教授(EMU)の追悼文 [平和をつくる者]

CPTワーカー、トム・フォックス氏を東部メノナイト大学の "Center for Justice and Peacebuilding" の講座で教えた助教授(Lisa Schirch さん)の手記(日本語訳)を以下に掲載します。

トム・フォックス氏は、昨年の11月26日にイラクの武装勢力によって他の3人の同僚と共に拉致され、3月9日に遺体で発見された、「キリスト者平和つくりチーム("Christian Peacemaker Teams")」のメンバーであり、CPTの創設以降の働きの中での最初の「殉教者(martyr)=キリストの証人(μαρτυς / μαρτυρ)」となりました。
だいぶ以前のことですが、「証人」という新約聖書のギリシャ語の語句を調べていた時、次のような箇所がありました。
-----------------------------
「μαρτυς / μαρτυρ :
証人、証言者、証し人、目撃者、現場に立ち会った人、目撃者(見聞者)として
証言する人。自らの一生を証しのためにささげつくした人。
英語の martyr は、μαρτυρ の音訳である。
 すなわち、殉教者たちを殉教者たらしめたものは、その英雄的「死」そのもので
はなく、その死に至まで生き続けた証言者としての「生涯」、死をもってしても
変えることのできなかった彼らの「生」であった。
 使徒行伝 22:20, 黙示録 2:13 では、このような意味で使われている。
       (「新約聖書 ギリシャ語小辞典」   織田 昭 篇  より)
------------------------------
イラクの人々の苦しみの「証人、目撃者」としてのトム・フォックス氏は、キリストの苦難と十字架の死と復活の「証し人」として、もし、21世紀版の『殉教者の鏡 "MARTYRS MIRROR"』が編纂されたなら、その最初の数ページの中に書き留められることでしょう。

21世紀こそ、政治的でも軍事的でもない、「第三の解決」が求められるのではないでしょうか?

■トム・フォックスさんのブログ
http://waitinginthelight.blogspot.com/

■"いけだ” さんのブログ  「CPTのトム・フォックスさん。」
http://teanotwar.blogtribe.org/entry-89a55a14cbcbbc5d75cdfdd85d825d5e.html

■ 『飛び交う弾丸の輪の中で迎えた最期』  日付:2006年3月15日
http://www.emu.edu/news/index.php/1096/ctp

東部メノナイト大学のCJPのWEBも参照下さい。
http://www.emu.edu/cjp/

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『飛び交う弾丸の輪の中で迎えた最期』

正義と平和構築センター、 リサ・シーリッヒ

弾丸は、循環するように飛び交う。発射した地点から、発射した地点へ撃ち返るように。トム・フォックスの身体は、イラク中を駆けめぐる銃弾を食い止める最後の砦だったのである。

米軍の兵士たちは、民主主義と自由を支持して、銃を振り回している。サダム・フセインの軍隊は、武力を行使して市民を脅し、近隣諸国や北米に脅威を表している。トムを殺害した者たちは、イラクの反政府勢力の一部であり、彼ら自身の理由を盾に武力で訴えている。もし、彼らがそこに行きつくまでの経緯を知ることができれば、これ以上の死者は防げるかも知れない。

−反政府勢力のますますの増大−
アメリカに対する積もり積もった怒りと直結するように、反政府勢力に荷担する人々の数は、増え続けている。最近の世論調査によれば、今やイラク人の半数近くが、反政府勢力の米軍への攻撃を支持している。彼らは、自国における続行する破壊と、占領に抗議しているのである。

イラク人は、自らの安全の礎として築き上げようとしていた再建策やコミュニティーの発展、草の根外交の努力が殆ど全て踏みにじられたことを嘆き悲しんでいる。

反政府勢力のターゲットは、アメリカ人である。彼らは、無実のイラク人の拘留、イラクの拘置所のあちこちで繰り広げられる拷問、ファルージャで行く手の邪魔となった無実の家族たちを焼き殺した化学兵器、白リンを武力に使うアメリカ軍に、怒り心頭しているのである。反政府組織は、主にスンニ派のイスラム教徒であり、彼らは、少数派であるがゆえに、新政府から追放される恐れを抱いている。

−銃は無力である−
支配者であろうと、反政府組織であろうと、軍隊であろうと、銃を手にしての解決は短絡的なものでしかない。サダム・フセインは、銃を残虐に発砲し続けたが、権力の保持は出来なかった。多国籍軍は、銃でもって、彼を権力の座から引きずり降ろした。しかし軍力は、反政府軍を打ち倒すことはできていない。銃で、平和を勝ち取ることは不可能なのである。

アメリカが、イラク再興よりも、反政府組織と戦うことに注力すればするほど、反政府勢力は、失業中の若者を新たに仲間に加えることになる。そして青年たちは、組織に身を置くことによって、将来的に何ら希望がなくなる結果になるのである。筆者が、8月にイラクに滞在中、現地のコミュニティー開発の仕事に携わっている人たちから、失業と反政府部隊への参加の間の直接的な関係について、多くの話を聞いた。

人生に何の希望も持てなくなると、人は、来世に用意されている命を得るために、銃を手に、殉教することを心に描き始めるのである。

銃を持った人は、撃ち出すその弾が、彼らの望み通りの最期を与えてくれると信じて。しかし、彼らの敵の意志を曲げる代わりに、銃弾は、敵対する者を相手に、戦い続ける意志を堅固にするだけの結果となる。制圧する勢力がなくならない限り、イラクの暴動は終わらない。
銃による武力は、状況を悪化させるばかりである。

−草の根外交−
テロ行為は、安定した経済と政情の下では、起こらないと、歴史は示唆する。イラクでの民族と宗教集団の間での再興、発展、草の根外交の長期的解決に投資するために、国際コミュニティーとパートナーシップを組みながら、労する勇気とリーダーシップがアメリカには必要である。

我々は、イラク全土で、これらの草の根外交事業に携わる人々の尽力を、熱心に応援して行かなければならない。発展と外交のツールは、武装勢力の拡大を回避し、抑えることができる。

銃弾はトムの命を奪った。しかし、銃弾は、イラクでの平和を祈る彼のビジョンや、イラクでの戦争終結運動に参加するために人生を捧げた彼のインスピレーション(着想)までは、奪い取ることはできなかった。トムは、イラクのサダム・フセインの軍隊や、多国籍軍、そして反政府武力勢力の間を駆けめぐる弾丸の輪に終止符を打ったのだ。

−返礼としての銃弾はなし−
平和のために捧げられた彼の身体、文書、そして労力の全てはその目的のために終焉した。トムの中に眠るそれらのものに対する返礼として、撃ち込まれる弾丸は1つもないはずである。我々は、イラクからの違った行路が必要である。

数千人の人々が、トム・フォックスのように、世界中で日々、死と背中合わせになりながら、非武装で独裁者に立ち向かい、人権侵害を訴え、紛争を仲裁して平和な関係を築くことに労している。

戦争で命を捨てることを厭わない人が大勢いる。一方で、平和のために命を捧げる人々がもっともっと必要なのである。

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リサ・シーリッヒは、東部メノナイト大学の 正義と平和構築センター の助教授である。
トム・フォックスは、イラクでの働きの準備のために、2004年の春に大学院課程で彼女のクラスを受講した。その縁で、彼のイラクでの活動について、シーリッヒ助教授は、彼と定期的に連絡を取っていた。

筆者:リサ・シーリッヒ、2006年3月15日投稿

(訳責:岡本信子)

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http://www.emu.edu/news/index.php/1096

Last in a Round of Bullets

By Lisa Schirch, Center for Justice and Peacebuilding

Bullets travel in circles - one side fires, another side reciprocates. Tom Fox’s body was the final resting place for a long line of bullets in Iraq.

Read about the campus response to Fox's death

American soldiers wield guns to support democracy and freedom. Saddam Hussein’s forces used the power of the gun to terrorize civilians and threaten neighboring countries and the U.S. Those who killed Tom are part of the Iraqi insurgency and have their own reasons for wielding guns. If we understand their story we have a better chance of preventing more deaths.

'Insurgency continues to grow'

The number of people joining the insurgency continues to grow in direct correlation with mounting anger toward the U.S. According to a recent poll, nearly half of Iraqis now support insurgency attacks on U.S. forces. They are outraged at the ongoing destruction and occupation of their country.

Iraqis lament the almost total abandonment of reconstruction, community development, and grassroots diplomacy efforts that would build the foundation for their security.

Insurgents target Americans because they are angry at the illegal detentions of innocent Iraqi people, the widespread torture in prisons in Iraq, and the use by American forces of a chemical weapon, white phosphorous, that killed and burned innocent families who were in the way in Fallujah. The insurgents are mainly Sunni Muslims who are the minority and fear being left out of the new political context.

'Guns have no power'

Guns are a short term solution, whether in the hands of dictators, insurgents, or militaries. Saddam Hussein could not hold onto power through his brutal use of the gun. The Coalition Forces deposed him with guns, but military power cannot defeat the insurgency. Guns have no power to win the peace.

The more the U.S. has shifted its focus to fighting the insurgency rather than reconstructing Iraq, the more the insurgents have been able to recruit new, unemployed young men with little hope for the future to join them. When I was in Iraq in August, I heard many stories from Iraqi community development workers about the direct relationship between unemployment and insurgent recruitment.

When there is little hope for this life, people begin imagining using the gun to gain martyrdom in preparation for the next life.

Each one who picks up a gun believes bullets will create their desired end. But instead of bending the will of their opponents, bullets only harden the other’s resolve to keep fighting. No amount of overwhelming force can bring an end to the violence in Iraq. More guns will only make the situation worse.

Grassroots diplomacy

History suggests that terrorism disappears in the absence of the fuel of economic and political desperation. The U.S. needs the courage and leadership to work in partnership with the international community to invest in long-term solutions of reconstruction, development, and grassroots diplomacy among the ethnic and religious groups in Iraq.

We need to diligently support those undertaking grassroots diplomatic efforts across Iraq. Development and diplomatic tools can prevent and curb the growth of the insurgency.

Bullets ended Tom’s life. But they have not crushed his vision for a just peace in Iraq nor the inspiration he offers the living to join in the cause of ending the war in Iraq. Tom was in Iraq to end the cycle of bullets among Saddam Hussein’s forces, the Coalition Forces, and the insurgents.

'No bullets in reciprocation'

His body, his writings, and his work for peace all aimed for that end. There should be no bullets in reciprocation for those that rest in Tom.

We need a different path out of Iraq.

Thousands of people like Tom Fox risk their lives everyday around the world to oppose dictators through nonviolent actions, to document human rights violations, and to build relationships across the lines of conflict.

There are many people willing to give their lives for war. There need to be more people who give their lives for peace.
-----------
Lisa Schirch is an associate professor at the Center for Justice and Peacebuilding at Eastern Mennonite University. Tom Fox took a graduate-level course with Lisa in the spring of 2004 in preparation for his work in Iraq and kept in regular contact with her about his work.

-- article by: Lisa Schirch, posted March 15, 2006


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CPT「キリスト者平和つくりチーム」の設立の経緯 [平和をつくる者]

2006. 3/19 のブログで、
『CPTワーカー、トム・フォックス兄の召天の連絡に接して』
■ CPTワーカー、トム・フォックスさんの殺害、遺体発見のニュース ■
の文章の最後に、『キリスト者平和つくりチーム(CPT)』の設立にいたる経緯を記した、ハロルド・ジャンツ先生の文書 『キリスト者平和つくりチーム(CPT)』 —フランスでの「メノナイト世界会議」でのメッセージを期に発足— を入れましたが、長文の文末でしたので、改めてブログにアップします。

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■CPT:キリスト者平和つくりチーム(Christian Peacemaker Teams)とは、
1984年のストラスブール(フランス)で開催されたMWC(メノナイト世界
会議)の会議での、ロナルド・サイダー師の呼びかけに答えて1988年に
メノナイト/アナバプティスト/平和主義の諸教会の協力によって創設された
「平和をつくりだす」ための働きを進めている団体です。
現在、中米、パレスチナ、イラクなどの紛争地域で、非暴力の活動をしています。
東部メノナイト大学の「 "Conflict studies in EMU's Center for Justice and
Peacemaking" (正義と平和構築)」の講座をはじめ、メノナイト関係の大学など
で、「 "VORP" (被害者・加害者の和解プログラム)」などの学びや訓練を受け、
まさに、いのちをかけて、争い合うグループの中に割って入り、和解と「平和を
作り出す」ために働いています。

<CPT:キリスト者平和つくりチーム>
http://www.cpt.org/index.html

■東部メノナイト大学  Eastern Mennonite University
"Center for Justice and Peacebuilding"
 http://www.emu.edu/cjp/

■フレズノ・パシフィック大学  Fresno Pacific University 
"Center for Peacemaking and Conflict Studies"
http://peace.fresno.edu/mission.php
 http://peace.fresno.edu/

===========================================================

*<カナダの「メノナイト・ブレザレン協議会」のサイト>
( Harold Jantz 先生の文書 より /
原文:the "Winnipeg Free Press", December 4, 2005.)
http://www.mbconf.ca/news/cpt-history.en.html

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『キリスト者平和つくりチーム(CPT)』

フランスでの「メノナイト世界会議」でのメッセージを期に発足

筆者:ハロルド ジャンツ

「キリスト者平和つくりチーム」が世界のどこかで人質に捕られて、その命が危険にさらされていることを知らされるのは、恐らく避けられないことであった。
現在、イランにて、その状況下にある4名のグループは、自らを「正義軍の剣」と称する集団によって、11月26日にバクダッドにて囚われの身となった。
4名のうち2名は、カナダ人のジム・ロニー氏とハーミート・シン・スーデン氏、イギリス人のノーマン・ケンバー氏、アメリカ人のトム・フォックス氏である。

CPT(キリスト者平和つくりチーム=Christian Peacemaker Teamsの略、以下CPTと記す)の始まりは、1984年フランスのシュトラスブルグで開催されたメノナイト世界会議の閉会近く、土曜日の朝の集会の時であった事を、私は鮮明に覚えている。講演者は当時、メノナイト系の“Brethren in Christ”(注:日本では、キリスト兄弟団(けいていだん))の学び舎、フィラデルフィアのメシア大学で教授ならびに平和運動家であったカナダ出身のロン・サイダー氏で、テーマは、「平和 —神の民の和解—」であった。

 サイダー氏が、その週に語った全ての言葉には、まるで電気が帯びたように、聴衆に大きな衝撃を放った。

サイダー氏は次のように語った。

「殉教、移民、宣教活動という過去450年を経て、シャローム(平安)の神は、20世紀の終わり、その歴史における約束の時に、我々アナバプティストを用意されていたのです。」

「これからの20年は、最も危険です。恐らくは、人類史上、悪や暴動が一番はびこる時代になるでしょう。しかし、我々が十字架を抱いて、和解しようとするならば、神に従う人々は、世界の歴史の線上に深いインパクトを与えることでしょう。」

「それは、我々にとって、最も素晴らしい時間となり得ましょう。世界は、これ以上我々からのメッセージを必要とせず、これ以上、オープンにするものもなくなるでしょう。けれども今こそ、イエス様が平和への道であられるという我々の信仰の故に、全ての危険を冒す時なのです。我々がそう信じているのなら、これまで話して来たことを自らが行動に移す時なのです。」

シュトラスブルグでの会議の2年後に、サイダー氏の呼びかけは、CPT(キリスト者平和つくりチーム)の結成に至った。

サイダー氏は、無謀とも言えるような以下のようなアピールを打って出た。

「我々は、無数の死をも覚悟しなければならない。武器を手に平和を訴える者たちは、命を惜しまなかった。誇りと勇気に満ちて、彼らは自らの命を捨てた。幾度も、幾度も、彼らはその明るい未来を犠牲にして・・・・・」

「もし、我々の多くが劇的に、勇敢に平和と正義の新たな英雄然として、犠牲になる覚悟がないのなら、我々が語って来たことは何ら意味がなかったと、うなだれて告白すべきである。もし、我々が争いを減らすために、新しい非暴力的措置を展開しないまま、死んで行くなら、十字架は剣の代わりを果たすと語って来たことが、全く意味なきことであると告白しなければならない。」

1984年にサイダー氏が講演した頃の世界情勢は、北アイルランドの暴動、中近東での緊張情勢、南アフリカのアパルトヘイトの崩壊、アメリカとソ連の、自国こそが一番正しいとするイデオロギー合戦、中央アメリカ、アフガニスタン、フィリピンやポーランドの「人民の正義と自由への夢」の時代であった。

サイダー氏の特別な呼びかけは、「仲介人」を買って出る人・・・つまり、敵対する両者の間に入って、和解、平和、正義の証人となりたいと願う人々に向けられた。彼の講演に続いて、ディスカッション(話し合い)グループは、「急進的な」「魂の追求」「我々への預言者」というような言葉を用いて、何か具体的な事を、サイダー氏の呼びかけから導き出さねばならないという意見に到達した。それは、まるでサイダー氏が、その週全体に焦点を当てていた事の結果のようであった。

何かをしなければならない・・・・・・こうして、「キリスト者平和つくりチーム」は発足した。

発足後20年の間に、CPTは様々な方向に向けて、戦略を展開して来た。その記録文書は、非暴力的調停の地域の取り組みに協力できる国際チームへの訓練について説明している。それは、世界が広範囲に、もっと正義への関心に目覚めるように、公に、でも非暴力的にCPTが正義の仲介となれるように。また政策を立てる人たちの重要な代弁者としての役割を担う為に、地域の議会や団体と共に働く「平和つくりチーム」を築く為の訓練などである。

その発足以来、CPTは、チェチェンやボスニア、イギリス、北米やカナダ、アフガニスタン、パレスチナ、メキシコ、コロンビアやプエルトリコで働くチームを与えられてきた。

地元、北米では、CPTは数年もの間、ケノラ地区にチームを有し、古来インディアン(アメリカ原住民)居住区において、独占的に伐木搬出業を行って来たアビディビ統合体に対して、その被害を受けているグラッシー・ナロウズのインディアン集団を援助して来た。
ノバ・スコティア居住区では、司法局の決定で、ロブスター漁をする原住民に有利になるようにと最高裁が定めた年2回の漁獲期の為に、バーント教会でCPTチームが与えられた。

CPTチームは、過去10年の間、ガザ地区とパレスチナ西岸地域に足を踏み入れ、真実を語り、文書を発行するという役割を果たしながら、イスラム世界で多くの尊敬を勝ち得た。CPTの仕事の大半は、一般市民へのインタビューや、より力を持ったグループの行動が、イスラム教徒たちにどのような影響を与えているかを報告することである。

これがイラクで、人質となっているCPTへの擁護の声が、どれほど強く、どれほど首尾一貫したものであるかの理由である。人質についての安否を気遣い訪れて来る人たちは、囚われの身の彼らが、戦争に反対し、弱者への擁護がゆるぎない者たちであることを理解している。

彼らは、スパイとして、また、アメリカやイギリスの武力行使の擁護者としてイラクに居るのではないのである。
---------------------------
Harold Jantz is the former editor of the "Mennonite Brethren Herald" and founding editor of "Christian Week".
This article first appeared in the "Winnipeg Free Press", December 4, 2005. Used by permission.
-----------------------------------------------------------

以上

訳責:岡本信子

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<参考文献の紹介>
『平和つくりの道』 ロナルド・サイダー著 
 原著: "Christ and Violence" 1979
     "Nuclear Holocaust and Christian Hope" 1982
      - A Book for Christian Peacemakers -
  棚瀬多喜雄 編訳/棚瀬江里哉 共訳  
  いのちのことば社(2004.4/20 発行)
http://www.wlpm.or.jp/pub/1596/index.htm

<Amazon>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4264022223/250-9995303-6827452

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牧師  井草晋一    http://homepage.mac.com/s_igusa/

◇地域社会に根ざし、キリストの福音を伝え、平和をつくり出す◇
         『愛といやしの共同体』
日本メノナイト・ブレザレン教団   能勢川キリスト教会
〒666-0155 兵庫県川西市西畦野字餓景 6-1
TEL. & Fax. 072-794-3537
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平和つくりの道

平和つくりの道

  • 作者: ロナルド・J. サイダー
  • 出版社/メーカー: いのちのことば社
  • 発売日: 2004/05
  • メディア: 単行本


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(和訳) 「CPTメンバー、トム・フォックス氏の訃報」 [平和をつくる者]

メノナイトの大野道夫先生から 3月13日に届いた、東部メノナイト大学(Eastern Mennonite University)の Jim Bishop さん発信のメール(3/12 付)を岡本信子さんが翻訳してくださいました。

なお、「正義と平和構築」や「VORP(被害者・加害者の和解プログラム)」関連の講座は、東部メノナイト大学(EMU)だけでなく、北米メノナイト・ブレザレン協議会が運営する、カリフォルニア州のフレズノ・パシフィック大学(FPU)など、北米の幾つかの大学などでも開設されています。

■東部メノナイト大学  Eastern Mennonite University
"Center for Justice and Peacebuilding"
 http://www.emu.edu/cjp/

■フレズノ・パシフィック大学  Fresno Pacific University 
"Center for Peacemaking and Conflict Studies"
http://peace.fresno.edu/mission.php
 http://peace.fresno.edu/

■井草(Peter Pooh)のブログ、ホームページも参照下さい。
★< Peter Pooh の "Good News" >
 http://blog.so-net.ne.jp/peterpooh/

★ VORP(被害者・加害者の和解プログラム)
 http://homepage.mac.com/s_igusa/Menu14.html

★「平和をつくる者」としての活動 "Peacemaking"
 http://homepage.mac.com/s_igusa/Menu27.html

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先日、井草先生より、MBメールで転送して頂いた下記、東部メノナイト大学のジム・ビショップ氏発信のメールの和訳を送ります。(巻末に原文コピー)
トム・フォックス兄の件は、アメリカのクリスチャンの友人(その兄弟のバージニア州にある実家が、かつてフォックス氏が属していたクリスチャン・コミュニティーから5分の場所にあるとのこと)を通して、様々な情報を頂き、ワシントン・ポスト(AP通信)にも写真付きで掲載されているのを読みました。
お祈りのご参考にして頂ければと思います。
今回も、仕事の合間を縫ってのスピード翻訳です。名称等のカタカナ表記に誤りがあったらお赦し下さい。
訃報の内容だけでも、シェアーできればと思います。

(井草先生の前回のメールより)
■4人のうちの、トム・フォックス(アメリカ人)さんが殺害されたとの連絡を、メノナイトの大野道夫先生、山出正一先生から 3/13 日付のメールで受けました。
下段の引用メール:メノナイト関係者に送信された、東部メノナイト大学(Eastern Mennonite University) の Jim Bishop さん発信を参照下さい。

(以下、岡本信子による和訳)
=========================================================

『バージニア州、ハリソンバーグ発−トム・フォックス氏(54)の訃報』 (3/12 付)

「キリスト者平和作りチーム "Christian Peacemaker Teams"」の一員だった彼が、イラクで人質となり命を奪われたニュースは、東部メノナイト大学で彼を知る者たちに、ことのほか大きな打撃を与えた。
イラクで発見された遺体は、人質となっていた「キリスト者平和作りチーム」(以下、CPT)の活動家、トム・フォックス氏であることを、3月10日にCPTが確認した。

バージニア州、クリアブルック出身のクエーカー信徒のフォックス氏は、AP通信によれば、両腕を縛られ頭と胸に銃弾を受けた状態で、3月9日にイラク警察によって発見された。その遺体が西洋人であったので、警察は、米軍当局へ現場に向かうよう連絡した。

フォックス氏は、CPTの平和活動家としてイラクに行く前に、東部メノナイト大学(以下、EMU)の「正義と平和構築センター("Center for Justice and Peacebuilding")」で、大学院課程を半年間受講している。
彼は、同じCPTの仲間のイギリス人、ノーマン・ケンバー氏(74)、カナダ人、ジェイムズ・ロニー氏(41)、ハルミート・サイン・スーデン氏(32)と共に、11月26日にバグダッドにて連れ去られた。4人は、自らを「真実の剣旅団」と称するグループに銃口を突きつけられて捕らえられ、その様子が、米軍の撤退とイラク囚人解放を訴える策としてビデオで公開された。
一番最近のビデオでは、25秒間の音声なしの場面が、3月7日にアルジャジーラ国営放送によって、フォックス氏以外の人質の様子が放映された。

EMUの「正義と平和構築センター」のリサ・シルヒ助教授は、同センターの「戦略的非暴力」のコースで、フォックス氏を教えた経験がある。彼女は、フォックス氏の死に対して次のように言った。
「深い心の傷、怒り、恐怖、悲しみが怒濤のようにあふれ出る中で、全てのイラクにいる人々の為に祈りましょう。」 「そして、そんな(感情の)エネルギーを、何かもっと建設的なものに転換できるように、自身の回復させる方法を見つけましょう。」 
同助教授は、「トムが、人権の監視と痛みの共有を通して、違ったイメージのアメリカの存在を示したいとの決断と共にイラクへ行った、勇気と希望にあふれた人であったということを心に刻んでおきましょう。」 と付け加えた。

春休みでフロリダに居た、EMUのローレン・シュバルツェンルーバー学長は、大学のコミュニティーに向けて、以下の声明を発表した。

「『キリスト者平和作りチーム』におけるトムの死は、世界中の無意味な暴力によって命を奪われた、あらゆる国の人々の悲劇を我々に訴えかけるでしょう。CPTの共同ディレクターであるキャロル・ローズ氏が、ニュースで語った次の言葉、−−−−−トムの訃報について、たとえ彼ら(加害者)が何をしたとしても、非難されたり、悪魔呼ばわりされたりする傾向に陥らないことを願います。−−−−に、心から同意します。どうか、トムの家族、同僚、友人、CPT学部のメンバーである リサ・シルヒ 他、大学と個人的に交流のあった全ての人たちの為にお祈り下さい。」と学長は語った。

EMUの「正義と平和構築センター」の共同ディレクターである ルツ・チマーマン氏は、次のように言った。
「トム・フォックス氏を含め、イラクにおける何千もの死をもたらした暴力と報復の連鎖を打ち砕く責任が我々にはあるのです。」 「その答えは、もっと多くの暴力や報復ではありません。」 「その答えは、−−−−愛と許し、正義の回復が回答であり、暴力の報復ではありません!−−−と、立ち上がって言ってくれる トム・フォックス氏のような勇気と信仰を持ったより多くの人々なのです。」

フォックス氏は、EMUの「正義と平和構築センター」で訓練を受けた2000人の平和の働き手の、公務中に殺された最初の人である。しかし、他の多くの働き手が、脅され、暴力を受けていると、チマーマン氏は言った。
EMUの卒業生たちは、フォックス氏がたどった運命に、周到な注意と多くの祈りと共に従おうとしている。チマーマン氏は、「特に、勇敢にも人質の代弁者となってくれた、イスラム教徒の卒業生と客員教授を誇りに思います。」と話した。

ソマリアの回教徒、カディジャ・オソブル・アリ氏は、2000年にEMUにて「紛争の変容(conflict transformation)」について、修士号を取得した。彼女は、仲間の同窓生にフォックス氏の訃報に際して、以下のコメントをEメールで送っている。
「彼は、宗教という名のもとに、一部の少数民族によって人質にされている我々全ての者のより良い未来への希望でした。」 「トムのために、そして彼の勇気と強い信念ある働きについて祈りましょう。彼に神様の祝福があるように。 我々が彼の意志を引き継ぎ、我々の絶望が人間として、より平和な共存へと変容するように力を与えて下さいと祈りましょう。」

EMUは、2005年11月30日と2006年1月30日に、大学内で、CTP活動家の4人の人質のために、徹夜の祈祷会をもった。 フォックス氏は、今年の2月にEMUでの講演を予定されていた。

■備考: 追加の大学の声明は、3月13日の月曜日に授業が再開された後に、EMUにて発表予定。

ボニー・プライス・ロフトン
CJP開発ディレクター、本レポート責任者

ジム・ビショップ
東部メノナイト大学
広報事務官

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「誰にも見られてないように踊りなさい。
 永遠に生きるように夢を見なさい。
 明日、死ぬつもりで生きなさい。
 決して傷つけないように愛しなさい」

— メメ・グリフィスターズ —

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----- Original Message -----
From: Jim.Bishop
Date: Sun, 12 Mar 2006 10:45:24 CST
Subject: EMU Responds to Death of CPT Worker Tom Fox
To: <省略>

HARRISONBURG, Va. - News of the death of Tom Fox, 54, a Christian
Peacemaking Team worker held hostage in Iraq, dealt an especially
difficult difficult blow on those who knew him at Eastern Mennonite
University.

U.S. forces in Iraq recovered the body of kidnapped Christian
Peacemaker Teams activist Tom Fox, CPT confirmed on Mar. 10.
Fox, a Quaker from Clearbrook, Va., was found by Iraqi police with
his hands bound and with gunshot wounds to the head and chest the
evening of Mar. 9, according to the Associated Press. When police
saw the body was that of a Westerner, U.S. military authorities
were called to the scene, reports said.

Fox had studied one semester in EMU's Center for Justice and
Peacebuilding graduate program before going to Iraq as a CPT peace
worker. He was kidnapped in Baghdad Nov. 26 along with fellow CPTers
Norman Kember, 74, a Briton, and Canadians James Loney, 41, and
Harmeet Singh Sooden, 32. The four were seized at gunpoint by a
group calling itself the Swords of Righteousness Brigade and have
been shown in videos released by the group, which has demanded
the release of all detainees in U.S. and Iraqi prisons.

The most recent video, a silent 25-second clip that aired on
Aljazeera Mar. 7, showed all of the hostages except Fox.

Lisa Schirch, associate professor of conflict studies in EMU's
Center for Justice and Peacemaking, had Fox in her "strategic
nonviolence" course at EMU.

"May we all hold every human being in Iraq in our prayers as the
trauma, anger, fear and sadness rages on and on," Dr. Schirch
said in response to Fox's death. "And may we all find a way to
renew our own personal efforts to transform those energies into
something more positive.

"Let us remember Tom for the bravery and hopefulness that came with
his determination to be in Iraq to monitor human rights and provide
a different kind of American presence there - one that sought to be
in solidarity with the suffering," Schirch added.

EMU President Loren Swartzentruber, in Florida during EMU's spring
break for development contacts, issued a statement to the campus
community:

"Tom's death, while serving with Christian Peacemaker Teams, reminds
us of the tragic deaths of people of all nationalities through senseless
violence around the world. I agree completely with a statement from
Carol Rose, co-director of Christian Peacemaker Teams, quoted in the
news - 'In response to Tom's passing, we ask that everyone set aside
inclinations to vilify or demonize others, no matter what they have
done.'"

"Please pray for Tom's family, co-workers, friends and for CJP
faculty member Lisa Schirch and others on our campus who knew
him personally," the president said.

Ruth Zimmerman, co-director of EMU's Center for Justice and
Peacebuilding, said that "we all have a responsibility to break the
cycle of violence and vengeance that has caused the deaths of tens of
thousands in Iraq, including Tom Fox.

"The answer is not more violence, more vengeance," Zimmerman said.
"The answer is more people with the courage and faith of Tom Fox to
stand up and say, 'Love, forgiveness, and restorative justice are the
answers, not violent retribution.'"

Fox is the first to be killed in "the line of duty" of the 2,000
peace workers that have received training through EMU's Center for
Justice and Peacebuilding, but many others have been threatened and
some have been beaten, said Zimmerman.

EMU alumni have been following Fox's fate with close attention and
much prayer. Zimmerman said she is "especially proud of EMU's Muslim
alumni and visiting professors who have bravely spoken on behalf of
the hostages."

Khadija Ossoble Ali, a Somali Muslim who earned a masters degree in
conflict transformation at EMU in 2000, responded to news of Fox's
death with this e-mailed comment to her fellow alumni: "He was the
hope for a better future for all of us who have been kept hostage
by a small minority in the name of religion.

"May we all pray for Tom, for his bravery and courageous work and
may God bless him and give us the strength to succeed and transform
our despair to a more peaceful coexistence as human beings."

EMU held prayer vigils for the four kidnapped CTP workers on campus
Nov.30, 2005 and Jan. 30, 2006. Fox was scheduled to speak at EMU
in February
this year.

Note: Additional campus responses are likely to be planned at EMU
after classes resume Monday, Mar. 13.

- Bonnie Price Lofton,
CJP development director, contributed to this report. ----------

Jim Bishop
Public Information Officer
Eastern Mennonite University
Harrisonburg VA 22802
Phone: 540-432-4211
Fax: 540-432-4448
www.emu.edu

"Dance like nobody's watching,
dream like you will live forever,
live like you're going to die tomorrow
and love like it's never going to hurt."
- Meme Grifsters -


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